イプシロン型変異ウイルスは,これまでの感染やワクチン接種による免疫が効きにくくなっているようです.
イプシロン変異体の遺伝子変異はコロナ感染に対する免疫を回避する
Epsilon variant mutations contribute to COVID immune evasion
イプシロン変異体の3つの変異のうちの1つは,スパイク糖タンパク質の受容体結合ドメインに影響を及ぼしている.この変異は,臨床段階の抗体を含む,そのドメインに特異的な34の中和抗体のうち14の中和抗体の活性を低下させた.
他の2つの変異は,スパイク糖タンパク質のN末端ドメインに影響を及ぼしている.コロナウイルスのN末端ドメインの一部がこれらの変異によってリモデリングされていることが質量分析と構造解析を用いて発見された.シグナルペプチド切断部位はNTD抗原スーパーサイトでシフトし,新しいジスルフィド結合が形成されている.これによりテストされた10種類のスパイク糖タンパク質のN末端ドメインに特異的な抗体のうち全てが中和力を完全に失った. 科学者は,この新たに発見されたシグナルペプチド修飾に基づく免疫回避のメカニズムを明らかにすることは,RNA配列決定による変異体の監視と同じくらい重要であると信じている.同時に,彼らはそのような努力が進行中のパンデミックに上手く対抗する一助となると言っている.
NTD(N-Terminal Domain)
記事の元になった論文
SARS-CoV-2 immune evasion by the B.1.427/B.1.429 variant of concern
Science 01 Jul 2021:
eabi7994
DOI: 10.1126/science.abi7994