世界中でワクチンが使われる中,変異株はその環境で淘汰されて残ったものである.進化論的に考えて,古いワクチンで誘導される抗体が変異株に対して中和抗体として有効であると考えたり,期待したりするのは根本的に間違いである.
オミクロン株については,
オミクロン株 Omicron株で取り上げているが,追加情報が出ている.
CNNに
オミクロン株、ファイザー製ワクチンの効果を一部回避か 南アで実験
の記事がある.このタイトルでは,少し効果が落ちるが,まだまだ効果がある,という雰囲気であるが,
内容は全くそうではない.
「ファイザー製ワクチンによるオミクロン株への効果は従来株に比べ、大きく落ちることが分かった。一部の検体では、オミクロン株の感染を阻止する中和抗体の濃度が、
従来株に作用する中和抗体の41分の1にとどまった。」とある.
ファイザーの
ワクチンで誘導される抗体のうち,オミクロン株のスパイクタンパクを中和できる抗体は 1/40(2.5%)以下しかないということになる.これでは感染防御になりそうにない.
「実験では、新型コロナに感染した後でワクチンを接種したケースで、オミクロン株が十分に中和されることも分かった。血液を採取した12人のうち、6人は接種前に感染歴があった。」
とも記載されているが,もともと感染で誘導される抗体はワクチンによる抗体に比較して,スペクトラムが広い.接種前に感染歴があった6人は,オミクロン株に暴露されている可能性もあるので,オミクロン株を中和した抗体は,ワクチンではなく感染によって産生された抗体である可能性が十分ある.(参考
ワクチン免疫は,感染による免疫に及ばない )