イベルメクチンのコロナ感染症に対する使い方は,論文報告では,体重60Kgあたり12mgを24時間毎に3回から5回である.
ストロメクトール錠3mg(イベルメクチン3mg)の
説明書によると疥癬に対しては,「通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。」となっている.これまで多くの市域で多くの人々に駆虫薬として使用されてきてはいるが,副作用が全くないわけでは無い.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には禁忌であるし,重大な副作用として以下の事が掲載されている.
1. **中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)注)
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2. 肝機能障害、黄疸(頻度不明)注)
著しいAST (GOT)、ALT (GPT) の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. *血小板減少(頻度不明)注)
血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
さて,この説明書によると
〈日本人における成績: 厚生省輸入熱帯病治療薬の開発研究班による成績〉9)
血中濃度
健康成人男子にイベルメクチンを錠剤で単回経口投与した場合、主要成分(H2B1a) の平均血清中濃度は、12mg投与では投与後4時間で32.0 (±7.3) ng/mL、6mg投与では投与後5時間で19.9 (±4.8) ng/mLの最高値を示した。12mg投与では6mg投与に比べ、AUC及びCmaxの平均値が、それぞれ1.3倍及び1.6倍に増加した。
〈外国人における成績〉
(1) 血中濃度
イベルメクチンを錠剤で12mg (平均用量は165μg/kg) 単回経口投与した場合、主要成分(H2B1a) の平均最高血漿中濃度は、投与後約4時間で46.6 (±21.9) ng/mLであった。血漿中濃度は、投与量 (6、12、15mg) にほぼ比例して増加した。イベルメクチンの血漿中消失半減期は約18時間であった。
イベルメクチンを錠剤で30mg (347〜541μg/kg) 単回経口投与した場合、高脂肪食 (脂肪48.6g、784kcal) の食後投与の未変化体AUC0-∞は、空腹時投与の約2.6倍に上昇した。10)
(2) 代謝・排泄
イベルメクチンは肝で代謝される。外国人のデータでは、イベルメクチンやその代謝物は、約12日間かけてほぼすべてが糞中に排泄され、尿中への排泄は投与量の1%未満であった。
となっている.
血漿中濃度は、投与量 にほぼ比例
イベルメクチンの血漿中消失半減期は約18時間
肝機能は健常で,代謝速度の低下はない
食事による影響は考えない
という条件をもとに,どのように血中濃度が推移するかをシミュレーションしてみた.
体重60Kgで,24時間毎に5日間内服した場合
体重60Kgで,初回12mg,12時間毎に6mgを4回内服した場合
体重60Kgで,3mgずつ,月,水,金に内服を2週間行った場合
イベルメクチンは,脂質が多い食事と共に内服すると吸収量が増加する.また様々な条件で影響を受けるので,この通りとはならない可能性も高いが,何も指標がないと考える事も出来ないので大まかな傾向を知る参考としてグラフ化してみた.