1．コロナウイルスは変異しやすいから
コロナウイルスはスパイクタンパクを始め，ウイルス表面の抗原になる部分が変異しやすい特徴を持っている．だから，準備したワクチンの効果がコロナウイルスの変化によって低下する．
2．ワクチンとして利用する抗原自体（スパイクタンパク）が毒であるから
通常不活化ワクチンはウイルスや病原菌を薬品や熱や放射線で殺し，無害化し，かつ抗原性が保たれるように作成する．トキソイドは細菌毒素だけを取り出しホルマリン処理を行って無毒化したものを抗原（ワクチン）として投与する．
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/_files/_ck/files/researchtopics/2021/2021LiuArase-Cell-210617.pdfより引用
新型コロナウイルスの場合，スパイクタンパクの中で，細胞の受容体であるACE（アンジオテンシン変換酵素）2と結合する部分（RED：Receptor Binding Domain）に対する抗体が感染を防ぐ中和抗体になるので，ワクチンとしての抗原を，スパイクタンパクにしたのである．しかし，スパイクタンパク自体がACE2の機能障害を引き起こす毒になってしまう．つまり，ウイルスが侵入するための入口が，生体機能にとって重要な酵素であるから，身体に抗体を作らせる抗原自体が毒になってしまう戦略を新型コロナウイルスが採用しているということである．
そして図を見て戴きたいが，スパイクタンパクを抗原とした場合，REDに結合する中和抗体だけでなく，感染力を中和できない抗体もできるのである．
3．非中和抗体の割合が増えると抗体による感染増強はADE (Antibody-Dependent Enhancement) が生じる可能性があるから．
現在の所，SARS-CoV-2によるADEの問題はニュースになっていない．また，SARS-CoV-2と現在のワクチンの組み合わせで，ADEは起きていない，あるいは起きる可能性は極めて低いとする説明がある．そうであれば良いが，ADEはウイルスの変異が進み，中和抗体が中和抗体として働かなくなる時に生じるので，今後も注意が必要である．
京都大学 ウイルス・再生医科学研究所の新型コロナウイルスの抗体による感染増強 (ADE) について 2020年11月13日には「SARS-CoV-2は通常、ACE2を発現しない免疫系細胞には感染しません。しかし、抗体がウイルス粒子表面のSタンパク質に結合し、抗体のFc領域と免疫系細胞のFc受容体FcγR II (CD32) が結合することで、免疫系細胞への感染を成立させます。」とある．
また大阪大学の報告では，
新型コロナウイルスの感染を増強する抗体 が作られる可能性があり，リンクのページには「
感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。」と記載されている．
Two Different Antibody-Dependent Enhancement (ADE) Risks for SARS-CoV-2 Antibodies
の
Vaccine Risks for Antibody-Dependent Enhancement (ADE)
ワクチンによる抗体依存性増強（ADE）のリスク
の部分には
「SARS-CoV-2ワクチンのいずれかを新たに製造しようとする試みは、食細胞の免疫細胞への抗体感染により、ヒトにADEを引き起こすリスクが高くなる可能性があると予測されます。この潜在的なADEリスクは、抗体の取り込み時に食細胞免疫細胞の感染が予測されるため、選択したワクチン技術やターゲット戦略とは無関係である。」
「現在の SARS-CoV-2 ワクチンは、高い抗体価で保護されているように見えますが、時間の経過とともに抗体価が低下することによる ADE リスクの可能性についてはまだ不明です。」
とある．
