③ mRNAワクチンは,1日で大量のSARS-CoV-2スパイクタンパクを作り出す.
ワクチンの作りだすスパイクタンパクの量はコロナウイルス感染による場合より,短期間に大量になるように設計されている.
Monitoring Serum Spike Protein with Disposable Photonic Biosensors Following SARS-CoV-2 Vaccination
によると
SARS-CoV-2スパイクタンパク質は、ワクチン接種後1日目に最大濃度が検出され、1週間以上持続し、1カ月以内に測定限界以下になった.
ワクチンはスパイクタンパクを体内に大量につくり,長く留まるように作られている.
・ワクチンのmRNAは脂質ナノ粒子(英: lipid nanoparticle、LNP)に入れられ,体内での分解を防ぎ,細胞に取り込まれるように作られている.
・全てのウリジン残基がN1-メチルシュードウリジン残基に置換されている.この置換により,RNAの翻訳効率が10倍から数十倍に増加(タンパクを沢山作る)し,高い自然免疫回避能力により核酸分解酵素に分解されにくくなる.
・非翻訳領域にタンパク質発現とmRNAの安定性を高める配列 (AES;mtRNR1由来) が組み込まれている
・作られるアミノ酸配列はスパイクタンパクだが,翻訳効率を上げるようにコドン最適化が行われている.
・本来ならば,ウイルス粒子本体に結合しているスパイクタンパクの基部はウイルス粒子から外れると,そこがアミノ酸のほつれとなり,分解されやすくなるが,ワクチンのスパイクタンパクは単体で存在してもこの基部がきれいにたたみ込まれるように変更されている.