コロナウイルスで気が抜けない毎日が続き,ウンザリしてきている.世界中でワクチンの接種が行われ,ワクチンで事態が終息すれば良いのであるが,ワクチン接種開始後,暫くは感染者数が増加し,死者が増加する国や地域が多い.
日本のワクチン接種はこれからが本番であるから,感染者の増加に注意する必要がある.
イベルメクチンが,SARS-CoV-2の増殖をin vitro(試験管内で)で阻害したという論文がでたが,この時のイベルメクチンの濃度が5μMであり,イベルメクチンの分子量を875とすれば,4370ng/mlで,通常のイベルメクチンの血中濃度(40-50ng/ml)の100倍ほどである.このため,イベルメクチンが効くはずがないとの反論が出ているが,実際に臨床で使った結果は,有効性の報告が多く,東京都医師会の提言になったものと思われる.
SARS-COV-2は感染して,細胞内に入るが,ウイルスの遺伝子RNAを包んでいるnucleocapsid proteinが,細胞内に入り,RNAを遊離した後,その一部が,細胞核内に入るらしい.核内に入ったnucleocapsid proteinは,核内のホストの,つまり人細胞の抗ウイルス作用を示す遺伝子をブロックする.たぶん,nucleocapsid proteinが強い+チャージを持ち,2本鎖DNAの-チャージと相互作用するためらしい.ウイルスはnucleocapsid proteinを細胞核に送り込まないと,上手く増殖できない.イベルメクチンは,このnucleocapsid proteinが,核内入ることを阻害する.
その他にも,イベルメクチンは,ウイルス由来のタンパクの核内移行を阻害する.例えば,デング熱ウイルス、ウエストナイルウイルス、およびインフルエンザにおけるnsp5の核移行を防ぐ.
これらの作用が,低濃度でも働いているようである.