レプリコンワクチン, Self-amplifying RNA vaccine, 自己増殖型mRNAワクチン,などと呼び方は色々あるが,自己増殖するmRNAワクチンが実用化されつつある.日本はこれを世界で初めてが認可した.これまで海外で認可された薬剤が後れて日本で認可されるというのが常であったが,今回のレプリコンワクチンについては,例外的である.治験が日本で行われ,安全性に問題はないような報告がなされている.しかし,安全性の確認は十分とは言えない.
ほぼ全ての生細胞から分泌される脂質二重膜構造を有する小胞がある.これを,細胞外小胞という.細胞外小胞にエクソソームがある.エクソソームは細胞間の情報伝達を行っていると考えられ,放出細胞由来の情報を持つ.
レプリコンワクチンによく用いられているのはポジティブセンスアルファウイルスゲノムである.アルファウイルス由来のレプリコンワクチンは4つの非構造タンパク質(nsP1-4)をコードする部分を増幅したい配列(スパイクタンパク配列)の前に挿入したものである.レプリコンワクチンでは,スパイクタンパクの産生とともに,レプリコンワクチン自体が増殖する.
レプリコンワクチンで細胞内に作られたレプリコン(複製された自己増殖型mRNAワクチン)は細胞が産生する細胞外小胞,エクソソームに含まれる.エクソソームの内容物は他の細胞に取り込まれるので,このレプリコンは様々な種類の他の細胞に移行し,受け取った側の細胞でまた複製される.簡単に言うとmRNAワクチンが他の人にうつる(伝染する)可能性がある.ワクチンを接種していない人にも影響を及ぼすことになる.