Bloombergによると
ペロシ米下院議長、訪台の見通し-中国は軍事行動も辞さぬ構え
とのタイトルで,Cindy Wang、Debby Wu 2022年8月2日 17:25 JST の記事に
「アジア歴訪中のペロシ米下院議長は2日夜、台湾に到着する見通しだ。副大統領に次いで大統領継承順位2位の現職の下院議長による訪問が実現すれば、1997年のギングリッチ氏以来25年ぶりとなる。台湾を領土の一部と見なす中国は議長訪台の場合、軍事行動も辞さぬ構えを示している。」
と書いている.
アメリカは東西冷戦でソ連を押さえ込んだ後,アメリカの競争相手は日本だと考え,日本の経済力を削ぐことと中国を育てることに力を注いできた.アメリカは長らく,「中国は裕福になれば,民主的な国家になる」と考え,国際社会の中で中国が我が儘をしても許してきた.
経済的に強くなった中国側の発言の記録として,「2007年、中国海軍高官(呉勝利)がアメリカのキーティング司令官に「中国とアメリカで太平洋を二分しよう」という分割案を持ちかけている。」という話がある.
しかし,おめでたいオバマ大統領(在任:2009年1月20日 - 2017年1月20日)は相変わらず,中国に甘かった.
そして,中国の習近平国家主席は2017年11月9日,トランプ米大統領との共同記者発表で「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」と,太平洋の東を米国、西を中国が管理し、太平洋を米中で二分しよう,という意味の事を言っている.
アメリカは,鄧小平の経済自由化政策に騙され,中国の軍事力がアメリカに次ぐ世界2位になるまで育ててしまったのである.
そして今,台湾を香港のように支配下に置こうとしている.歴史的な言い分はいろいろあるが,台湾は自由民主主義が実施されており,国家として認めるべき体裁を備えている.
共産党中国が東アジアの覇権を握らなければ,国家として存続できる社会である.
今回,中国が台湾を国家として扱うなら,それを阻止するために軍事力を使うぞ,と脅しており,ひ弱な台湾や日本はアメリカに頼るしかない,という状況である.ところが,頼りであったアメリカは,西太平洋の覇権を維持する力を失いつつある.
2021年,中国の軍事愛好家がネットに「
日本が台湾有事に武力介入すれば中国は必ず日本を核攻撃する」という動画が掲載され,拡散している.アメリカでは背後に中国共産党や軍がいるとして再拡散している.
今回,ペロシ米下院議長が,台湾を訪問すると発表し,その後,中国が,そうなれば報復すると発表している.双方,引くに引けない状態になっている.
もし,台湾で武力衝突が生じると,日本は確実に巻き込まれる.この問題は,今回の騒動が大事に至らず収まったとしても,今後,常に日本に拘わってくる難事である.
アメリカと中国は,お互いに連絡を取り合っているだろうから,中国がペロシ米下院議長の台湾訪問を実力阻止せず,下院議長が台湾で中国の面子を立てるような発言をすることで矛を収めるのかもしれないが,戦争というのは,皆が思いも付かない状況で拡大していくものである.
ここ数日は何が起こるか,心配なことである.